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不思議なものを追いかける/らせんの宿、phantom twins、小人戦記ザキ/DMM TELLER様あの晴れた日の向こうで

傑作!漂流教室!

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忘れもしない高校2年の春、Y君の家に遊びに行って見つけたのが漫画の漂流教室(楳図かずお)でした。

やけに昔の本があるなぁと思って手に取ったのが始まりで、読んでみるとこれが面白い。先が気になって途中でやめられない。時間を忘れて没頭しました。

ある日、大地震と共に小学6年生の高松翔(たかまつしょう)は学校ごと異世界へ飛ばされる。
そこは草木すら生えない荒涼とした砂地で、自分たちの通っていた校舎と生徒職員の他は誰もいない。

何が起こったのかわからず右往左往する教職員たちを尻目に高松翔とその担任である若松先生は学校外への調査を試みるが……。


という始まり。

破滅的な未来やディストピアを描いた物語は数あれど、ここまで人間社会の一面を鮮やかに切り取った作品は珍しいのではないかと思います。漂流教室は単に秩序が失われた世界の残酷さを強調しただけの話ではありません。

序盤、環境の変化に適応できなかった大人のほうが子どもより先に発狂したり、命を絶ったりしてしまう場面があるのですが、それもなんだか妙に納得してしまう。学校が異世界へ飛ばされるなんてことが一般の常識からすれば考えられないことで、大人だからこそ絶望を前に身動きが取れなくなってしまうんですね。こんな世界でこれからどうやって生きていくんだと先を考えてしまうので。

一方、子どもは逞しいです。荒廃した世界であっても生きるためのあらゆる努力を惜しまず、最初はみんなで協力して苦境に耐えます。

といってもそこはやっぱり子どもにとっても厳しい環境。
頼るべき大人を失くした不安もあって心の慰めのために自分たちの神を生み出したり、低学年の子なんかは帰還を強く願うあまり、鳥になって飛び立つ覚悟で屋上から飛び降りたりします。
子どもは子どもで常識がないからこその夢想をしてしまうわけです。

というように漂流教室は目を覆いたくなるようなシーンの連続ですが、こんなのはまだ序の口。

漂流教室では子どもによって生み出される世界の異質さ、恐ろしさを徹底して描いています。際どい表現をオブラートに包もうという気など全くない。作者さん出版社サイドの熱意が伝わってきます。

これ、1972年から1974年にかけて週刊少年サンデーで連載されていたみたいなのですが、よくもまあこの内容を連載できたものだと驚きを禁じえない。
後半の描写は特に激しい。新しい人類が生まれるシーンなどいくつかグロテスクな場面がありますが、小学生たちが派閥に分かれて戦争を始めたりもします。それも記号化さたキャラクターや化け物が人を襲うのとはちょっと違っていて、等身大で描かれた小学生たちが追い込まれたあげく人を襲ってしまう。だから演出のひとつとして見れないようなリアリティがあって、かつ迫力がある。終盤なんて連載当時も賛否あったのではないでしょうか。

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上記したように漂流教室は極限下の過酷さを押し出していますが、それだけの話ではありません。主人公・高松翔たちは早い段階で、自分たちが未来へ飛ばされたことを知るのですが、途中未来人に出会います。

その未来人が主人公たち旧人類が滅んだ理由に触れて、こんなことを言います。
「現役世代の失敗を次世代に伝えられなかったのが旧人類が滅んだ理由」

漂流教室で描かれているテーマのひとつに環境問題があり、人類の過ちを言い表した言葉ですがこういう観点で物語が練られているとは思わなかった。旧人類が滅びたのにもちゃんと理由があって、新しい人類(未来人)はその問題を克服してたりするんです。

漂流教室は全体的にホラーテイストの話ですが同時にSFであり、主人公たちが未来へ飛ばされた理由も人類が滅びた理由も全て明確な説明がなされている。すごい作品です。

昔の漫画なのでタイトルぐらいしか聞いたことないって人も多いと思いますが、興味のある人はぜひ読んでみてください。全11巻。冗長なところがなく話の展開が速いので一気に読めます。


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  1. 2017/10/17(火) 20:25:02|
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ゼロサムゲーム「クリムゾンの迷宮」

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バングル・バングルと呼ばれる岩石地帯。画像はWikipediaより

閉鎖環境での生き残りをかけた戦い。今でこそソリッドシチュエーションスリラーというジャンルが確立され、この手の生存バトルものは珍しくないですが、15年ほど前はそれほどメジャーなジャンルでもなかったように思います。
映画「SAW」の影響で一気に広まったのではないでしょうか。

わけのわからないまま、見知らぬ土地に投げ出され、主催者の意に沿った行動を強要される。こういう話、私も大好物です。主人公の視点で謎を追いかけていく話の構成はわくわくします。

そこで今回オススメするのは貴志祐介さんの小説「クリムゾンの迷宮」

舞台はオーストラリア北西部、現地の人の言葉でバングルバングルと呼ばれる砂岩地帯。
記憶のないまま連れてこられた数人の男女が、主催者の狙いを探りつつサバイバルを繰り広げます。

主人公は失業した中年男性。
魅力的な人物かと言われるとそうでもない。良くも悪くも普通の人です。

主人公は現地で知り合った女性と共に、端末で指示された情報を追ってバングルバングルの地をさまようことになります。

主人公たちは最初に与えられた道具のみで生き延びなければならないのですが、その内容自体もゲームのような物語構成になっていて、ゲーム好きにはたまらない。現地の様子やそこにいる生物を狩るサバイバル情報もふんだんに盛り込まれているので、読んでいて面白い。

貴志祐介さんといえば「黒い家」に代表されるホラー小説が有名で、人間や社会の持つ悪意や不条理をテーマとしている話が多いです。そして何より貴志祐介さんの小説は人間が怖い。とても怖い。

クリムゾンの迷宮でも最後は人間同士の戦いになるわけですが、忍び寄ってくる人間に身震いするような恐怖を感じます。

閉鎖環境でのサバイバル好きだけど何を読んだらいいかわからない。そんな人がいたらクリムゾンの迷宮をオススメします。古い本ですがゲームを下地にした色褪せない小説です。


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