色778

不思議なものを追いかける/らせんの宿、phantom twins、小人戦記ザキ/DMM TELLER様あの晴れた日の向こうで

エビは美味しいが果たして本当に食べ物だったのか

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 こないだ身内と食事をしているときのこと。

 食事をしている最中、身内のチビ(園児)がなぜか自分の皿のエビを手でつかみ、その足を引きちぎり、私の皿にその足を投げ込んでくる。

 子どものすることだと思い、私は怒ることなく「殻ごと全部食べられるよ」とたしなめるものの、チビは「ほーん」なんて鼻で返事をしながら、エビの足を投げ込んでくる手を止めない。

 私が少しドスをきかせて「食べられるよ」と言ったら、眉を寄せて、にらみつけてくる。

 なぜエビの足を引きちぎるのか、そしてなぜ投げ込む先が私の皿なのか。チビの親は何か別の話題で盛り上がっていて、チビのやっていることを止めようとはしない。(しかしチビの行動には気づいているようにも思える

 なめやがって。

 そういえば薄々感じていた。チビのために紙を切って剣を作ってあげているときから、チビは私に対してどことなく命令口調であったことを。
 おそらくチビは以前から私のことを使い勝手のいい部下のように思っていたに違いない。

 エビの足が溜まった皿を前にして、ついに私は怒った。怒鳴ったりはしない。私利私欲の塊であるチビに対しては、損をしていると思い込ませるほうが効果的なのだ。

「エビの足って、おいしいのに! もったいなー、あーあ、チビちゃん損した、あーあ!」

 するとチビは「エビきもい! ○○(私)ちゃん、うざい!
 うざい、きもい、うざい、きもい! と連呼し出した。チビはその怒りを体現するかのように、隣の皿のエビまで掴んで、その足をひきちぎり、私の皿に投げ込んでくる。くっそー、舐めるなよ! 私は投げ込まれたエビの足をわしづかみにして、チビの皿にどさっと置き返す。

 で、チビが「ぐおがあ」とモンスターのような声を発したところで、私は一つのある事実に気づいてしまった。
 よくよく見ると、エビはきもい形状をしていることに。

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 エビはおいしい。
 しかしよくよく観察してみると、エビはなかなか前衛的な形状をしている。
 体節の連なる姿など、まるで虫のようだ。

 ひょっとしたらエビはきもいのかもしれない。チビがエビの足をちぎったのも、無数の足がついたエビを気持ち悪がったからなのかもしれない(足以外はおいしそうに食べてた)

 なぜ私はエビをきもい思うことなく食べているんだろう……? 虫に似てるのに!

 と考え出すと、それはおそらく子どもの頃からエビは食べ物という知識を与えられたために、形状に対しての疑問を抱くことがなかったからだと思う。

 食べ物だと認識した段階で、見た目からくる先入観は吹っ飛ぶ。逆に言えばそれはゲテモノと言われる料理を何も知らされずに食べさせられ、ゲテモノだと暴露された瞬間に気持ち悪くなってしまうのと同じで。

 エビ一つを取ってこれだから、知らず知らずのうちに膨大な常識という名の前提(これは食べ物だ)を、人間は幼少の頃よりすり込まれているような気がする。
 環境や教育次第でどうとでも変わるものを。
 食文化は各地域の生活環境に根ざしているものだからそれはそれでいいんだけど、自分の感覚を世界標準と思ってしまうのは間違いなんだろうな。

 何か言論人が発するような、身の丈に合わない方向に話が流れてしまったけれど、色々と思うところがある。お話を作るうえで、たとえばゲテモノを料理を極上料理として扱う世界観もありなのではないかと思ったりもする。

 ゲテモノXを世界最高の珍味として、ゲテモノXを争って死闘を繰り広げる話があってもいいし、ゲテモノXを食べるために命がけの脱出劇を繰り広げてもいい。チビが私に教えてくれたのだ。「時代の感覚に囚われすぎるな」と。「環境によってだいぶ違うぞ」と。いや、チビは別に何も教えてくれてない。許されない。

 とりあえず今は次作テンリンのアコを作っています。少しずつ、少しずつ。

  1. 2016/08/15(月) 22:16:39|
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