色778

不思議なものを追いかける/らせんの宿、phantom twins、小人戦記ザキ/DMM TELLER様あの晴れた日の向こうで

あなたは本当にオカルティストですか?(創作)

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田舎の寂れた駅のホームを歩いていると、前を歩いてくる男と肩がぶつかった。
私は無言のまま足を止めることもなかったのだが、

「あんた赤コワさんじゃないかい?」

えっと思って振り返ると、リーマン風の男が私を見ている。知らない顔だ。濃い顔に似合わず、つぶらな瞳が印象的だった。

「やっぱりそうだ。あんたオカルティストの赤コワさんだ、見てるよ、あんたのブログ」

腑に落ちない。顔出しはしていないのだから。

「あんたさ、オカルティストを名乗ってるくせに、宇宙人もUMA、オーパーツも否定してるだろ。常識人ぶってさ」

そんなつもりはない。宇宙人は存在すると思っている。UMAやオーパーツだって証拠が出てくれば信用する。
だが呆気に取られてしまって言葉にならない。相手は見知らぬ男なのだ。

「あんたのような人にオカルティストを名乗ってほしくないね。他のオカルティストたちに失礼だ。もうブログはやめてくれ

黙っているつもりだったが、これにはカチンときた。私にだってオカルティストとしての自負がある。

「本当のオカルティストなら、なんでも鵜呑みにするんじゃなくて、怪しいものは疑ってかかるべきですよ。そうしてこそ、本物のUMAやオーパーツに辿り着けるってもんでしょ」

言葉が口をついて出た。
男はにやにやと笑う。何がおかしい。

「いいや、違うね。あんたは恐れているんだ。UMAやオーパーツを真面目に語れば、白い目で見られるから。人間性を疑われるから」
「ち、違う」
「昔のあんたは違った。持ち物が消えると妖精の仕業だと思い、人気のない路地の立てば異世界への扉が見つけられる気がしていた。幽霊を信じ、呪いを恐れていた。あらゆる場所に行ってUFOを見つけようとしていた。自分の姿を見せていたらUFOは出てこないと思って、電柱の影に潜んで空を窺っていた。輝いてたよ、あの頃のあんたは」

どうしてそんなことを知って……疑問が頭をかすめるが、それ以上に私は男のかもし出す不思議な雰囲気に呑まれていた。

「もう子どもじゃないんですよ、私は。そんなこと……」
「大人になったって言いたいのかい? 違うね、余計な知恵が身についちまったのさ。昔のあんたは常識よりも、怪しいものやうさんくさい話を信じていた。そっちのほうが楽しかったから」
「楽しいなんて……それが何になるんですか。願望よりも真実でしょう」
「そう、そうだな。オカルトには嘘が多くて、何度も何度もいい加減な話に関わってるうちに、あんたはそんな人間になっちまったんだな。あんたのせいじゃないのかもしれない」
「好き放題言って、あなたは誰なんですか」
「俺かい、俺は──」

ピカー! う。目を開けていられないほどの光が男から放たれていた。細くなった視界の先で、爬虫類のような風貌が形作られていく。まさか……そんな、まさか……。光が収まるとそこにレプティリアン(恐竜人間)がいた。私が信用してなかった存在の筆頭だ。

「信じないから見つけられなかったのさ、今まで……でもそう言うと、あんたは人間原理がどうとか言い出して、きっと納得しなかったんだろうな」
「信じる……信じるよ、だって目の前にいるんだから!」
「もう遅いね、ここでお別れだ。せいぜい常識の枠内の記事を書くんだな」
「待って! 私は、本当はっ! あああ、レプティリアーーーン! 行かないでくれー! 待ってー!」

膝をつく。レプティリアンは消えた。涙があふれてとまらない。私は間違っていたのか。レプティリアンを信じてあげられなかったから。これまでの記事内容が悔やまれる。もしレプティリアンと真摯に向き合えていたなら今頃は……。涙、ぼとーん、ぼとーん。鼻水ぶしゃあ。


という妄想を駅で男性とすれ違ったときにしました。こういうことが絶対にないとは言い切れない。言い切れないので、今までの自分を少しばかり戒めようと思いました。
頭に疑問符だけが残ってしまった人へ。最後まで読んでくれてありがとうございます。それで正解です。ごめんなさい。

  1. 2017/08/12(土) 00:27:58|
  2. オカルト